補聴器の使用を考えておられる方、また、買い替えを検討されている方に、今の聞こえの状態を確認すると、多くの方が「声は聞こえるが何を言っているのかわからない」「補聴器を使っているが鮮明に聞こえない」と言われます。

これは、「言葉の聞き取り」がうまくできていない事が原因ですが、その要因としてはいろいろな要素があります。

1. 音の明瞭・鮮明さが低下している

聞き取りは、耳ではなく脳が関係しています。

「難聴の脳」は長い期間、音が伝わりにくい状態に慣れてしまっています。

音を聞く脳の回路は、常に刺激されていないとだんだん働きが悪くなっていくという現象がある為、音の処理能力や聞き取りの能力が低下してしまっている場合があり、補聴器を使用してもすぐに明瞭にハッキリ聞こえるわけではないのです。

2. 会話に聞こえない成分ができる

加齢に伴う難聴では、両耳とも同じように高い音から聞こえにくくなる傾向にあります。

その高い音(高音域)の成分には、エネルギーが小さい「サ」「シ」「タ」など子音が含まれており、この部分の聞こえが、より小さくなると、「さかな」と「たかな」や「いちじ」と「しちじ」を聞き間違えたり聞き分けることが難しくなったりします。

  • かな(魚)→→→ かな(高菜)
    とう(加藤)さん →→→ とう(佐藤)さん
    ろ(広)い →→→ ろ(白)い
    ら(笑)う →→→ ら(洗)う

よって、会話に、聞き間違える単語が多く入れば入るほど、話の内容が理解できなくなってしまうのです。

3. 補聴器の片耳装用は難しい

片側だけ装用している場合、つけていない方から話されるとよく聞き取ることができません。

また、人間の脳は両耳から音が入った方が音を処理しやすく、言葉も理解しやすくなります。


このように、補聴器をつけたからといって、理想通りに聞こえが改善するわけではないのです。

補聴器は「医療的トレーニング機器」と言われています。「めがね」はかけるとすぐに見えますが、補聴器は、つけるだけでは聞こえるようにならないのです。

ご自身の聴力や状態に合わせた補聴器で、音を慣らしながら時間をかけて言葉の聞き取りを改善していきましょう。

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